「コーヒーは『コーヒー学』ではなく『コーヒー楽』なんです」
職人のような手でカップを持ちながら、山元さんは言う。
「なくても生きていける、でも人生に彩りを添えられる。楽しみ方は、人それぞれでいい」
就職活動をして新卒で、大手コーヒーチェーンに就職。18年務め、店長職にも就いていた。
その時ラテアートにハマり、自宅で練習するために焙煎機を購入。
「練習用に焙煎した豆を購入すると高くて、これは自分で焙煎したほうがいいなと思ったんです」
多い時は、一日に10本以上の牛乳パックを使うほどラテアートの練習をしたという。当時はYoutubeなどの動画はなく、写真を見ながらの研究だった。いつしかその熱がラテアートから、焙煎へ移っていく。
店長まで務めたコーヒーチェーンを退職し、豆を扱う商社に就職。そこでコーヒー豆の取れる現地へ研修で行けたことは大きかったという。
「産地の苦労や努力あってのコーヒーだからこそ、眉間に皺を寄せて飲むよりは、その人その人に合ったスタイルで楽しんで欲しい」
実際、山元さんの焙煎するコーヒーを求めるコアなファンは多い。
現在は、流山市平和台のシェアキッチン『AZcafe』で週5回コーヒーを出しているほか、アンティグアや、フラワーズなどの飲食店にも卸している。
「難しく考えなくていい。コーヒーをきっかけにみんなが繋がっていく感じが楽しい」
人気の秘密はコーヒーのハードルをあげない、奥ゆかしさなのかもしれない。
そんな山元さんに小さい頃の夢を聞いてみたら、意外な答えが返ってきた。
「小さい頃は、ジャーナリストになりたかった。コーヒーやさんになる、コーヒーを生業にするとは思わなかった。今の自分は流れに身を任せ、導かれたような感じです」
ありのままの自分を正直に話してくれる。コーヒーはもっとオープンでいい。難しく考えなくていい。人とつながり、人生の数だけコーヒーの味があっていい。
これからも流れるように変化を遂げる山元さんに注目していきたい。
J.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター1級 コロンビアマイルドコーヒー鑑定士
山元瑞樹 インスタグラム