さわやかなブルーの花を咲かせるネモフィラは、一面に咲くと見ごたえがあり、写真映えするため近年特に人気があります。そこで改めてネモフィラとはどんな草花なのか、紹介したいと思います。
ネモフィラは、ムラサキ科ルリカラクサ属に分類される草花の総称で、ルリカラクサ属を表す学名のNemophilaをカタカナ読みしたものです。この仲間は北アメリカを中心に世界に11種あり、日本で主に栽培されるのはルリカラクサ(Nemophila menziesii:ネモフィラ・メンジーシー)とモンカラクサ(Nemophila maculata:ネモフィラ・マクラータ)の2種類です。この2種類のうち、ブルーのお花畑としておなじみなのはルリカラクサの方です。
ルリカラクサは英語でbaby blue eyesと呼ばれています。これは花を赤ちゃんの美しい青い目に見立てたものです。その名のとおり花はさわやかなブルーで、真ん中は白くなっています。たまに純白の花を咲かせる株もあります。
またルリカラクサにはいくつか園芸品種があり、品種によって花の雰囲気が異なります。「スノーストーム」の花は白色で濃紫色の点々があります。また「ペニーブラック」の花は黒っぽい色で、先のほうが白く縁取られたようになります。

一方のモンカラクサはカリフォルニア州固有種で、花は白っぽく、先に紫色のスポットが入るのが特徴です。ルリカラクサと同様にネモフィラの名前で売られていて、花壇などに植えられているのを目にする機会も多いものです。
ちなみにネモフィラを図鑑等で調べると、ムラサキ科と書かれているものと、ハゼリソウ科と書かれているものがあることに気がつきます。これはかつてハゼリソウ科というグループに分類されていたからです。最近DNA解析をもとに分類が見直された結果、ハゼリソウ科はムラサキ科に統合されたため、ネモフィラもハゼリソウ科からムラサキ科へと変更になりました。旧科名の代表種ハゼリソウは、緑肥として畑に作られることがあるものの稀で、見られたらかなりラッキーです。

それからネモフィラを小さくしたような姿のオオイヌノフグリは、ムラサキ科ではなくオオバコ科に分類されています。果実の形などが異なるので、見比べて違いを探してみるといいかもしれませんね。
わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。