旧岩崎家末廣別邸
岩﨑久彌 晩年の住居
富里市
富里市唯一の国登録有形文化財「旧岩崎家末廣別邸」が昨年12月から一般公開されている。三菱創業者の岩崎彌太郎の長男、久彌が晩年を過ごした別邸だ。
明治時代に政府から払い下げられた土地を農業と畜産を行うべく岩崎家が取得。農場全体では当時340ヘクタールあり、その形が扇型をしていたので、末廣と名付けられたそうだ。
敷地内には大正末期に建てられた主屋(しゅおく)、東屋(あずまや)、石蔵がある。石蔵は老朽化のため、現在立ち入り禁止になっている。大正15年の関東大震災後の設計で、耐震にこだわった建物だ。柱と梁の間に鉄板が入っており、内壁は軽くて火災に強く、高価な石膏ボードを使用。基礎も通常より深いので大変しっかりしている。
ゲストハウスとしての役割も果たしていた東屋は立派なつくりとなっていて、内閣総理大臣だった近衛文麿も訪れたことがあるそうだ。ガイドによる解説は不定期に行われている。写真撮影可。
建物内部には入れないが、外観から眺められる窓は歪みガラスで、当時のもの。職人が手延ばししたもので大変貴重だ。往時をしのんで訪れてみてはいかがか。
敷地内には2月の梅に始まり、桜、こぶし、つつじ、山百合、紅葉など四季折々の花木が咲き、癒しの時間を楽しむにはうってつけだ。つつじは六義園から移植されたものだそう。庭園内にある大木のクスノキは三菱が財を成すことになった一つの理由でもある防虫剤の原材料などで、シンボルツリーなのだ。なぜか久彌の居室からしか見られない工夫がされていて面白い。遊歩道にあるコーティングされた切り株は休憩に最適。
毎週日曜のみ公開(10時~16時。最終入場15時30分)。入場無料(予約不要)。無料駐車場あり。
▼富里市七栄650-25。
▽問☎0476・93・7641。(富里市教育委員会生涯学習課文化資源活用室)。