旅スケッチ たっちゃんの行ってきました!

ふれあい毎日連載

「きのえねまがり家」と「DIC川村記念美術館」

国道51号から脇道に入り、5分ほどで到着。「酒蔵CAFÉ」と甲子商品を購入出来るショップを併設。杉玉の掛けられた古民家は鍵型の曲がった作りが特徴の建物で、新潟県川上村の民家を移築したものだそう。 

2階には「きのえねギャラリー」がある。屋根裏へと通じるような階段を上ると広いスペースがひらけていた。

この日は常設展を鑑賞。器や家具の風合いが古びた木造空間に馴染んでいる。ゆっくりと作品と対話出来るのが気に入った。

 階下へ降りて、酒蔵CAFÉで酒粕アイスクリームを注文して席に着く。

しばらくして、蔵の雰囲気にぴったりの、乳白色のアンティークグラスに甲子の酒粕を練りこんだアイスクリームが盛られ、運ばれて来た。控えめな甘さで、旨い。

 奥のコーナーでは試飲体験をしている男性も見られた。県外から来たそうだ。私は出口近くで見つけた「はなやか匠の香」という清酒を一本購入。自宅で飲む楽しみが増える。

「きのえね飲み比べセット」は「甲子」の定番を集めた清酒と梅酒との5本セットだ。これは次回の楽しみにしよう。

 夏休みのせいか、入口から家族連れが何組も入って来た。敷地内の農園ではブルーベリー摘み体験が出来るのだ。隣の母屋では旬の料理を楽しむことが出来る。

 きのえねまがり家から、車で20分ほどの田舎道を走らせ、大好きなDIC川村記念美術館へ。

「ジョセフ・アルバースの授業」と題した企画展が開催されていた。ガラス作品、家具や食器などのデザイン、絵画シリーズなど、実に多様な作品群には驚いた。常設展ものぞいてみた。

光と影の魔術師と呼ばれる貴重なレンブラントによる肖像画、モネやルノワールなどの印象派作品も多数所蔵。ピカソ、シャガール、20世紀後半の現代のアメリカ美術などは見るたびに発見がある。

今回は大型作品群の部屋に展示されていたロバート・ラウシェンバーグの作品に注目。絵画や彫刻などの既存のジャンルや次元を軽々と超えた前衛作品に、近づいたり離れたりして、その世界観をたっぷり楽しんだ。

 外へ出て庭園を散歩。門から入ってきた家族連れの二人の子供たちは急に池の方へ向かって走り出した。子どもだけでなく、広々として庭園は清々しい気持ちになるものだ。林間を通る自然散策路が面白い。萩はまだ微かに赤紫の花を覗かせているだけだが、秋の気配を感じる。

 庭園を散策の後は、ギフトショップへ。パッケージのイラストが気に入って、クッキーとポテトの菓子を購入。

外のテラスでは二人の女性がジュースを飲んで談笑中。先ほどの美術館の前で写真を依頼された二人だったので、挨拶を交わし、少し話を聞く。

「コロナ感染が弱くなってきたので久しぶりに会おうということで、川村記念美術館を選びました。千葉県内と都内在住の二人の中間点であり、レストランや庭園の環境がよいのも選定の理由です」と、久々の邂逅(かいこう)がうれしそう。

 帰りの車から見えた入道雲は圧倒的な存在感。暦の上では秋だが、猛暑の日々は続きそうだ。