手賀沼公園周辺を歩く

ふれあい毎日連載

 我孫子市は文化的なエリアとして知られている。秋風に誘われ、我孫子駅近くの手賀沼公園周辺へ行ってきた。

 駅前の情報センター「アビシルベ」でグルメ、観光、街巡りなどを紹介する地図付きの冊子をもらい、広い歩道をゆっくりと歩く。

カフェの前に置かれた木彫りの熊が目に入り、そのまま店内へ。ミルクティーと焼き菓子を注文して、店のオーナーと少し話す。「週3日の営業で常連さんが何人かやって来る。焼き菓子も多くは作らない。余ると困るので」と営業スタイルはのんびりとしたものだ。

 カフェを出て、公園坂通りを手賀沼公園まで歩く。湖沼周辺の名物によくある、ウナギを焼く香りがどこからか漂ってきた。タレの焦げる匂いは食欲をそそる。

8分ほどで到着。公園は家族連れや犬との散歩を楽しむ人々で賑わっている。小さな子どもたちが広い公園を走り回っているのは見ていて飽きない。水辺まで行くと釣りをしている3人家族もいる。

コスモスなどの花が秋風にそよぎ、散歩道を彩っている。所々に手賀沼を眺められるようにとベンチがあり、そこでランチを食べている人も満足げだ。戸外の豊かな食卓だ。ジョルジュ・スーラの絵画「グランドジャット島の日曜の午後」を思い出した。

 来る途中に「アビソンシュガーガーデン」という4店舗並んだ複合レストランがあったので、そこへ戻りランチのオムライスを食べた。今年5月にオープンしている。

ペットと一緒に利用出来る広いテラスもついている。その中の「Sugar」という店でこの季節ならではのアップルパイを1つ買い、歩いて1分の手賀沼公園へ戻る。

 「TEGA POND」というコーヒースタンドを見つけ、ブラックを一杯注文。野外でのコーヒーは格別においしい。「天然の氷」という旗が風に揺れている。

この店では10月までかき氷を提供、11月からは焼き芋を始めるそうだ。近くに白い柱に囲まれたオープンテラスもあり、水辺を渡って吹く風はとりわけ心地よい。

 公園内ではミニ鉄道も運行していて、黄色い特急が大人気。子どもや大人を乗せて一周する。小さな踏切もあり、ミニチュアだが、本物の街のようだ。立ち止まって特急が通過するのを見ているだけでも楽しい。ボートや貸自転車も用意されているのでファミリーやカップルが一日中遊ぶのにはよい公園だ。

 ぼんやりと手賀沼を眺めていた私の前を、ふいにロシア原産のボルゾイ犬を連れた家族連れが通り過ぎた。四肢が長く、貴族の風貌を持ったこの犬はルイ・イカールの絵で知り、こうした高貴な姿の動物もいるのかと驚いたことがある。