自動車のパーツは、約4000種類、2~3万個の部品からできている。このように、そこには自社だけではなく、様々な企業の叡智と技術が集結しているのである。
野田市に本社を構えるスミテックは、自動車、冷蔵庫、OA機器などの部品を製作している会社だ。1973(昭和48)年、墨田区に金属プレスの加工業として創業。主に電卓のキーボードに使われている板バネやフロッピーディスクの金属部分を製作。時代に乗りS社携帯型カセットデッキの部品、その後プリンターやコピー機のパーツづくりへシフトした。平成12年には、インサート成形という金属と樹脂を張り付ける部品づくりへと発展。現在では、受注の4割が自動車部品の製造で、大手企業のハイブリッド車や電気自動車などの温度を感知する金属板を任されている。
高度経済成長期「Made In Japan」という国内生産の品質の確かさを売りにしていた時代から、現在は 「Made By Japan」として日本の技術力を海外に広める流れに沿って、2009(平成21)年にベトナム工場を設立し、現地の顧客との取引を開始。また日本国内で顧客が要望する金型(金属で製作した型枠)を作り、それを利用しベトナムで製品を生産。直で海外へ送ることにより、時間やコストの削減となっている。現在、約60名のベトナム人が働いているが、工場設立時に6名の新人を来日させ、3年間修業させる人材育成にも力を入れてきた。
スミテックの躍進の理由をグローバル戦略室室長の入山浩二さんは、「お客様のすべての思いを形にする、ということをモットーに技術力を磨いてきました。また、常にアンテナを立てて新しい製品作りにも対応してきたからだと思います」と話す。
コロナ禍において、エレベータのボタン押しなどに利用できる安心製品「まめたっち」を制作。スクラップの銅の抗菌作用に富んだ性質を利用した。クラウドファンディングによる応援購入のサイト―Makuakeで好調な売り上げを達成し、今後一般販売も視野に入れている。
(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)
■スミテック株式会社
野田市蕃昌369‐3
☎04・7129・6380