国の伝統工芸品に選ばれた包丁 「五香刃物製作所」

なにつくってるの?東葛工場拝見

 モノづくりの「伝統、技術、心」を残したい。そんな熱い気持ちで刃物づくりをしている柏市の五香刃物製作所。ここでつくられる刃物は、千葉県指定・経済産業大臣指定伝統的工芸品としても認められ、次世代に受け継ぐべき鍛冶文化を継承している。

 もともと房総半島では、砂鉄が採れた古墳時代から製鉄と鍛冶仕事が行われていた。江戸時代に入り、大工や農家の仕事道具・工匠具(こうしょうぐ)をつくる鍛冶職人が増えたといわれている。しかし、現代に入り刃物類は大量生産へ移行していく。

 「大量生産は、ボタンひとつで誰にでも作業ができる。それに携わる人は、職人仕事ではなく職工です。私たちは、本物をつくる職人だと自負しています」と代表の八間川(やまかわ)憲彦さんは言う。

 展示場には下総国光月作などの包丁が並ぶ


 現在は、八間川代表の息子の義人さんが刃物づくりを受け継いでいる。包丁の形に鋼を切る「型切り」から1000℃近い火の中に入れる「焼き入れ」「焼き戻し」。仕上げの「研ぎ」は、熟練の腕が試される。

 義人さんは語る。「どの工程も手を抜くことはできません。師匠から受け継いだ技術を残していく使命があると思います。時代の流れで、今は持ち手をつくる柄屋(つかや)さんや刻印を造る工房が無くなってきているように、この業界に危機感があります。私たち職人を陰で支えてくれている職人にもスポットが当たればいいですね」
 工房の隣には、多くの手づくり刃物を並べた展示場があり、見学自由だ。自社製刃物の他、全国の職人たちがつくった商品を中心に代表が厳選した刃物を展示しており、海外からもファンが訪れるという。

 また、一般の人に包丁づくりに親しんでもらおうと随時ワークショップを行っている。ブライダルの記念や贈り物としてつくりたい人、手づくりの包丁を使いたい人など参加者も多い。少しキズのある商品などを安く提供する「アウトレット刃物市」(年一回、12月第2土曜日に開催)も、好評だ。


(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)



■株式会社五香刃物製作所


柏市藤ヶ谷369‐10
☎04・7193・0271
【営業時間】月曜日~金曜日:9時~18時
【休業日】土曜日午後、日曜日、祝祭日

タイトルとURLをコピーしました