のむら農園代表 セカンドキャリアで農業へ 栄町
栄町で特産のどらまめ(丹波黒)と水稲(コシヒカリ)栽培をしている野村斗士夫さん(55)。2019年の50歳でセカンドキャリアとして、IT業界から転職し農業を始めた。「どらまめ」の名は龍伝説が息づく栄町のイメージキャラクター「龍夢(ドラム)」に因む。「丹波黒」と呼ばれる黒豆の高級品種だ。
転職のきっかけは、会社の早期退職プログラムや自分の方向性を考慮。また、農家だった父の体調悪化も重なる。父と母が作っていた丹波黒も好きだったこともあり、農業への思いが膨らんだ。生産で大切にしていることは「味の品質を落とさないこと。自然に対する対応を考え、年ごとのバラツキを無くすこと」と力強く話してくれた。豆を畑に直播だったものを、苗を作って植える移植に変えていき、少しずつペースを掴んで行った。
20年以上前からオーナー制度があるが、以前の新規お客様は既存お客様からの口コミだったが、現在は栄町黒大豆研究会のサイトから、必要事項を記入して抽選する形も追加した。地域の生産者の変化として「若い世代の人が増えて活性化している」と野村さんは目を輝かせる。
今後の取り組みとして、「環境負荷低減を考えて今年からJ-クレジット制度に参加。黒大豆の加工品の数を増やすこと。本場と遜色なく栽培しているので、関東で黒大豆と言ったら“どらまめ”とわかるようになったらうれしい」と話す。
「どらまめの枝豆は、はしり、さかり、なごり、といって、10月上旬から下旬まで3通りの旨い旬を楽しめる」と教えてくれた。
どらまめの流通経路のひとつとして18年前から始めた路上販売がある。2019年からは利根川沿いの国道356バイパスを「黒豆街道」と名付け、オレンジ色のテントで個人へ販売するスタイルで、評判を呼んでいる。
「最初は口コミで集まって来た。観光農園という雰囲気で、知り合いだけで収穫のイベントという形だった」と当時を振り返る。
自宅でのインタビューを終え外へ出たら、白米を買いに野田市から来た客に遭遇。「ここの白米もどらまめも美味しい。生産者と話をしながら購入でき、食べる時に顔が浮かぶので安心する」と介護士をしているという女性の笑顔が忘れられない。
●次回は津田乃梨子さんにバトンを渡します。