今年も残すところあと1カ月ほどですね。時が経つのはあっという間です。今回ご紹介する作品は、複雑な人間の感情と本質を鋭く炙りだした作品です。
北の離島の美しい港町に最愛の人の帰りを待ち続けている女たちがいる。登美子の夫は30年前に突然姿を消した。
なぜいなくなったのか、今生きているのか、それすらわからない。同じ町に住む漁師の春男に想いを寄せられているが、登美子は夫との思い出を抱きしめ今でも帰りを待ち続けている。
ある日、もう一人の待つ女、奈美が登美子のもとに現れる。彼女もまたいなくなった夫を探していた。そんな中、登美子は街中で偶然、失踪した奈美の夫を見かけてーー。
日本では、年間約8万人もの人が行方不明になっています。人知れず消えた人、そしてその帰りを待つ人。そこには、いったいどんな物語が隠されているのでしょうか。
「なぜ」「どうして」を問い続け、狂おしい日々を背負いながら毎日を過ごす「待つ女」たちの姿は、私たちの心を強く揺さぶります。人はどれだけ愛した人のことを解っているのでしょうか。
新たなる傑作を、ぜひキネマ旬報シアターでご覧ください。
(富さや香)