『ダンサー そして私たちは踊った』

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 今回は、第92回アカデミー賞国際長編外国語映画部門のスウェーデン代表に選出された

『ダンサー そして私たちは踊った』をご紹介いたします。

 ジョージア(グルジア)の国立舞踊団で、ダンスパートナーのマリとともに幼少期からトレーニングを積んできたメラブ。カリスマ的な魅力を持つ新星イラクリの登場により、彼の世界は大きく動き出す。メラブの中に芽生えたライバル心は、やがて抗えない欲望へと変化していく。

 本作の監督はジョージアにルーツを持つスウェーデン人のレヴァン・アキン。まだ日本ではメジャーではありませんが、世界が注目する若手監督です。そして、アキン監督の目に留まり、主演に抜擢されたのが、ジョージア出身1997年生まれの若きダンサー、レヴァン・ゲルバヒアニ。

監督は彼をInstagramで見つけスカウトしたそうです。なんだか時代を感じるエピソードですね。

 本作の見所はやはり華麗なダンスシーン。ただ踊るのではなく、登場人物の心象を身体で力強く表現し、観る者の心をグイグイ物語に引き込みます。

 光と影により映し出される研ぎ澄まされた肉体美と、青年達の揺れ動く心を官能的に描いたこの冬見逃せない一本です。

(新井貴淑)