『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

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 皆様こんにちは。実はこの記事を書いている現在、当館キネマ旬報シアターは新型コロナウイルスの影響で休館中でございます。

 4月には営業再開していることを願いつつ、GWの目玉作品の一つ『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』をご紹介いたします。

 日本が戦争のただ中にあった昭和19年、広島県・呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれ、新たな生活を始める。日に日に困窮していく生活の中、すずは工夫を重ねて日々の暮らしを紡いでいく。

 そんなある日、すずは迷い込んだ遊郭で同世代の女性リンと出会い、心を通わせていく。しかし翌年呉は大規模な空襲に見舞われ、すずをはじめそこで暮らす人々は大切なものを無慈悲に奪われていく…。

 本作は2016年に大ヒットを記録した『この世界の片隅に』に新たなシーンを追加した長尺版。オリジナル版では描かれなかったキャラクターとエピソードが加わることによって新たな印象を纏い、より主人公すずの心の内側に迫る作品となっています。

 悲惨な時代のうねりの中で、日々を懸命に生きていた市井の人々を描いた『この世界の片隅に』から4年。名作をより深く、より濃く味わえる本作を是非スクリーンでご覧ください。

(新井貴淑)