君と僕も友達になれる

子どもの広場 ゆうび

◆寿さん(17歳)。中学時代、クラスメイトとのトラブルから不登校に。精神的に不安定な面もあり、高校進学は周囲から通信制などを勧められたが、本人は「友達がほしいから」と通学コースへ。しかし数日だけ行って行かなくなった。理由を聞くと「友達になれそうな子がいなかった」。


◆祐くん(18歳)。お調子者で話が面白く、誰とでも分け隔てなく仲良くなれるタイプ。ゆうびでもいつも誰かと遊んでいる。そんな祐くんがあるときふいに「俺って友達いないんだよなー」とつぶやいた。「たくさんいるじゃない」と言うと「ゆうびで遊ぶ人はいるけど、今から遊ぼうとか電話して集まるような、そういう奴はいないんだよ」と言う。

 見学に来る子の中にも「同世代の友達が欲しい。〇年生の子は何人いますか?」と聞く子は少なくありません。ゆうびには、下は小学1年生から上は30代くらいの人までが在籍しています。同世代で仲良くなる子もいますが、それ以上に年齢、性別を超えて共に遊んだり活動したりしている姿が多く見受けられます。中学生の真くんは24歳の宏くんとバンドを組んで楽器や音楽のことを教えあっています。小学生の芽くんと高校生の吾くんは好きなゲームで対戦して盛り上がっています。電車が大好きな翔くんとスタッフのお兄さん(50代)は会うとコレクションを交換していつまでも電車話を繰り広げています。ゆうびの元代表は見学にきた子によくこう言っていました。「友達というのはいつになってもできる。ぼくはしわくちゃのおじいさんだけど、君と僕だって友達になれるんだよ」。


 寿さんや祐くんの思い描く友達像とは、だいぶ違うでしょう。学校生活では同学年が友達。その下は後輩で上は先輩となってしまいまず。限られた範囲の中で気の合う相手が見つかる方が、珍しいことかもしれません。同学年で、頻繁に連絡を取り合って遊んで…というような、いわゆる友達の定型に当てはまらないけれど、人間と人間の間には年齢や性別を超えて、もっと多様で奥深い関係がある。学生時代の友達というのももちろん素敵な関係ですが、大人になってからだって、親友はできます。友達がほしい、切実な彼らにいつか伝わるといいなと思います。

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