人気の家電、レアモノ商品、便利グッズを扱うサンコー株式会社の広報部長、オレンジのワイシャツにオーバーオールという、一度見たら忘れられない格好でテレビに登場する﨏(えき)晋介さんは、東葛地区出身。
小・中学生時代は松戸市で過ごしたというえきさん。この頃は今と違って性格も暗く、ほとんど学校には行かなかったという。
「高校へは2年遅れて入学しました。そうなると同級生は2歳年下。入学した時に『みんなのお手本になろう』と決めたんです。この時に人生が変わりましたね」
『ストレートに行かない』という他の人とは違う選択をしたことで、正解は一つではなく、多様にあることを学んだ。
そう思えるようになったのは両親のおかげでもある。
「学校に行かなかった自分を、両親は無理に行かせようとはしませんでした。自分が子どもを持ってみて初めて両親の気持ちがわかりました。あの時じっと我慢して、見守ってくれていたから今がある」とえきさんは言う。
高校から大学へと進学。就職を経てサンコーの広報部へ。広報部長として、おもしろ家電を紹介し、メディアに出ることも多いため、仕事=タレント業では?とえきさんに聞くと、こんな答えが返ってきた。
「喋ることも、メディアに出ることも、もちろん好きです。でも、どうやったら伝わるか、制作担当、テレビ局のことを考えて、何をしたら喜んでもらえるかを考えるのがとても楽しいんです」
今年、えきさんは「伝わる、伝える」テーマで出版も予定している。
「広報は伝える仕事。それは人を喜ばせる仕事」
えきさんの言葉に、小さい頃の苦労と葛藤、両親への感謝が入り混じって聞こえる。選択肢をたくさん持っている人は誰の心も掴む、伝え方を知っている。
お茶の間を賑わす広報部長の名前を、書店で見る日も近そうだ。
(取材・文=渡辺なほこ)