今こそ運動習慣

健康
名戸ヶ谷病院 脳卒中センター・センター長 脳神経外科部長 井上 靖章

 新型コロナウイルス感染症の猛威も少し落ち着き、外出のしやすい環境になりました。今こそ運動習慣を見直していただけると嬉しいです。運動不足は様々な病気の原因となるだけでなく、ストレスの原因などなり精神衛生上もよくありません。


 特に65歳以上の方は、運動不足や野菜・タンパク質等の栄養不足は筋力低下をもたらし寝たきりに近づいてしまいます。このように、運動不足や栄養不足による筋力低下と、それによるさらなる運動量の低下の悪循環、そしてそれに付随して身体的・精神的に様々な病気にかかってしまう状態は「フレイル」と呼ばれています。フレイルになると寿命が縮まってしまうことがわかっています。


 では、どれくらい運動すればよいのでしょうか。ウォーキングであれば1日5000歩、およそ50分間毎日歩くとフレイルになるリスクが半分に減るため、これを基準に考えていただけるとわかりやすいと思います。家事等の屋内での日常動作は運動としての効果は乏しく、「私は家事で忙しくしているから大丈夫」ということにはなりません。毎日50分間も身体を動かすのは簡単なことではないので、例えば通勤や買物など必ず行う活動の中で片道25分(往復で50分)歩くなどのように、日常生活の中に組み込んでしまうのが長続きの秘訣です。体力に不安があれば、朝と夕で25分間ずつ散歩する、などに分けるのも有効です。こうして工夫して毎日身体を動かすのは素晴らしい運動習慣と言えます。


 そして何より、毎日身体を動かすととても気持ち良いです。そうして食欲も増えてきたら、良質なタンパク質と野菜をしっかりと摂るようにしましょう。

 これから春を感じる季節、ご夫婦で仲良く、あるいは他のご家族と、時にはご友人と、まずは毎日5000歩の散歩からはじめてみませんか。


社会医療法人社団蛍水会名戸ヶ谷病院脳卒中センター(新柏駅から徒歩約7分)
☎04・7167・8336