12月22日は冬至。この日が過ぎると今度は少しずつ昼の時間が長くなっていきます。しかし「冬至冬中冬始め」という言葉があるとおり、寒さはむしろこれからが本番です。
関東平野に位置する東葛地方は、雪こそ少ないものの朝の冷え込みが厳しく、場所によっては-5℃以下になることも珍しくありません。昼間は冷たい空っ風が吹きやすく、大地はカラカラに乾燥します。その厳しさは北国ほどではありませんが、多くの草にとって、冬を越すというのはやはり一大事であることには変わりありません。
春に発芽し、その年のうちに開花・結実して枯れてしまう一年草としての生活史を送るものもありますが、越年草(秋に発芽し越冬、翌年開花し枯死)や二年草(数年かけて成長し開花後枯死)、多年草(何年も生き続け開花結実を何度も繰り返す)としての生活を送るものは、冬を越す必要があります。
冬を越す草は、寒さや乾燥などから身を守るためにさまざまな工夫をしています。中でも多くの草が採用している「人気の冬越し方法」のひとつが、地面にべったりと張りつくように放射状に葉を広げるロゼットです。
ロゼットはバラの花という意味から来た言葉で、その名のとおり、ひとつひとつのロゼットはまるで地面に開いた花のように見えます。
ロゼットにはメリットがたくさんあります。地面に平らに葉を広げることで、乾燥した寒風をうまくかわせるため、葉の傷みを軽減することができます。また太陽光の当たる面積が増え、その恩恵を最大限享受することができます。
冬の間は散歩道のいたるところで、さまざまな種類の草がロゼットをかたちづくっています。ロゼットの色味や形は種類によってある程度共通の特徴が見られるため、慣れればロゼットを見ただけで植物の種名が当てられるようになります。
ちなみに厳しい寒さに当たると赤みが強くなるものもあります。またナズナのように、同じ種類でもそのときの環境によって葉の形にバリエーションが出るものもあります。
ぜひこの冬は、地べたに咲いたさまざまなロゼットの花を愛でてみませんか?
わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール
気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。