夏の夜に、ひっそりと咲くお花たち!

わぴちゃんさんぽ
左:カラスウリの雄花、右が雌花

 花火に夜祭り、カブトムシ探しなど、夏の夜は楽しいことがいっぱいです。もし夜道を歩く機会があったら、ぜひ道すがら夜に咲く花を探してみませんか?

 秋が深まると赤い実がよく目立つカラスウリ。その花は夏の夜に咲きます。

花は白く、縁がレース編みのように細かく切れこみます。懐中電灯に照らされて、宵闇にぼんやり浮かびあがるその姿は、なかなかに美しいものです。しかし儚い一日花で、夜が明けるとともに急速にしぼんでしまいます。

ちなみにカラスウリの花には雄花と雌花の区別があります。両者はそっくりですが、雌花は花のつけ根に、後に実となるぷっくり膨らんだ部分があります。

 マツヨイグサの仲間も、身近な夜咲きの野花です。名前も宵を待って咲く草という意味があります。

この仲間にはいくつか種類があり、昔は直径5cm以上のとても大きな花を咲かせるオオマツヨイグサが多かったといいます。しかし現在オオマツヨイグサはすっかり稀な存在で、代わりに多いのがメマツヨイグサとコマツヨイグサの2種類です。

メマツヨイグサ


 園芸植物の中にも、夜咲きのものが少なくありません。オシロイバナはその代表選手で、夕方4時ごろから咲き始めることから、英語でfour-o’clockと呼ばれています。

オシロイバナ


 かつて観賞用に栽培されたチョウセンアサガオの仲間もアサガオとは名ばかりで、夜咲きです。しかも分類上はナス科でアサガオとは全くの別物です。

花は大きくてなかなか見ごたえがありますが、強い毒があって汁が口や目に入ると危険なので、素手では触らないようにしてください。

ケチョウセンアサガオ

 ウリ科のユウガオも夜咲きです。「かんぴょう」の原料となるフクベ、それからヒョウタンも分類上はユウガオの変種で、同様に夜に白い花を咲かせます。

ユウガオ


 ちなみにこれらの夜咲きの花は、季節が進んで涼しくなってくると、朝も開いたままのことが多くなってきます。花を見たいけど夜に外に出るのはちょっと…という方はそれを狙ってみるのも良いかもしれません。

 そして完全な余談ですが、ヒマワリはじつは夜も咲いています。これは一度咲くと開きっぱなしだからです。「昼の花」というイメージが強いヒマワリの夜の姿をあえて観察してみるのも面白いかもしれませんね。

夜も開いているヒマワリ

わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。

千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。わぴちゃんホームページ