「日本に蒔こう しあわせの種」
アグリシアJAPAN代表
富里市
富里市で野菜作りに奮闘する津田乃梨子さんを訪ねた。広い作業場を埋め尽くす名産の大きなスイカ。その中を、汗まみれで働く津田さんの姿が目に飛び込んで来た。
曾祖父の代から続く農家の生まれ。大学卒業後、フードサービスを提供する会社に就職。農業への転職のきっかけは、夫婦で実家を訪れた時、トウモロコシを食べ、感動「農業をしてみたい!」という夫の言葉。鮮度が命のトウモロコシ。そのフレッシュな美味しさに心打たれたのだという。
「会社員時代、仕事中心の生活で食事もとらず働き続けた日々が続いた。これでは自身の人生のために生きていない。ずっと起業を考えていたこともあり、富里の野菜の素晴らしさを伝えたい」と退職、新規就農した。「元来、主導権を握りたい性格」と自己分析する。
「旬の野菜を作るのが好き。一年間でジャガイモ、トウモロコシ、スイカ、枝豆、落花生のおおまさり、大根、人参など・・」と、まさに百姓を目指す。好奇心旺盛で関心範囲が広い。
富里は農業が主たる産業で後継者は他の地域よりも多く30代、40代が農業を牽引している。販売は主に市場出荷と農協を通してスーパーへ。静岡や埼玉ともネットワークを作り販路を拡大。「母はまだ現役。母しかスイカを見てくれる人はいない。母の指導のもと私たちはすべての技術を身につけられる」と母への尊敬と感謝を忘れない。
イチオシはいちご。通販、直売所、いちご狩り、近隣の一部店舗のみで販売する。「愛情と手間をかけて育てた真紅の美鈴、とちおとめ、紅ほっぺ、恋みのり、よつぼし、夏のしずくの6種類。美味しいいちごをぜひ召し上がっていただきたい」。
「今後はカーボンクレジットとキッチンカーを考えている」。音楽フェスやライブ好きで「キッチンカーを使い、祭りやイベントなどに出店し、地域に貢献したい」と意気込む。「社会環境が変化する中、新しいものを取り入れて行かなければならない」。スタッフひとり一人に寄り添い、経営理念のひとつ「仕事を楽しむ」ことも忘れない。アグリシアJAPANのスローガンは「日本に蒔こう しあわせの種」。
●次回は柏木孝一さんにバトンを渡します。