東葛駅伝を走った選手たち-Vol.6 浜名 颯太さん(流山市立八木中学校出身)

東葛駅伝
第67回東葛駅伝で4区を走る浜名さん

 小学生の時、少年野球チームに所属していた浜名さん。チームの卒団生が走るのを応援しに行ったのが東葛駅伝を知ったきっかけだ。

◆中学では野球部に所属

 スポーツテストのシャトルランの結果を知った陸上部の松村淳先生から声がかかり、東葛駅伝に向けた練習に参加することになった。夏休みには流山市の中学校が合同で菅平で合宿を行った。「つい数ヶ月前まで小学生だった私には走る距離が長すぎて、毎日『練習がきつい』と感じていました。正直、1年時は、『東葛駅伝を絶対に走る』という気持ちはなかったです」

◆葛北支部駅伝や東葛駅伝を経験し、陸上競技への転向を決意

 中学1年時の冬に利根町駅伝に参加し、初めて駅伝を経験。そこでタスキをつなぐ駅伝の楽しさを知った。中学2年時で葛北支部駅伝の4区を走り、その後、東葛駅伝(第66回)は7区、中学3年時(第67回)は4区を走った。

「東葛駅伝を初めて走った第66回は、途切れることのない沿道の声援の多さに『こんなにも応援してもらえる楽しい駅伝があるのか』と思いました。高校では陸上部に入ろうと決めました」

◆流山南高校へ

 「駅伝を続けるなら、ある程度の強豪校でと思い、県内の駅伝上位校の流山南高校に決めました」

 当初は同期が好タイムを出した時などに「絶対に負けてたまるか」と意地になったりもしたが、主将を任されてからは仲間の成功を素直に喜べるようになり、チームをまとめることを最優先した。「長野和子先生、影山淳一先生のもとで3年間陸上競技ができたのは高校時代の最高の思い出です」

2016年第4支部予選1500m(タイムレース決勝)
2016年 全国男子駅伝選考会5000m

◆箱根駅伝に憧れ、中央学院大へ

 大学入学直後は順調に練習出来ていたが6月くらいから疲れが抜けず、それがケガにつながり練習に参加できなくなった。「考え方が未熟だったこともあり、集団生活にも馴染めず、1年目の箱根駅伝が終わった後に退部を申し出ました。大学へ送り出してくれた高校時代の恩師と、私を受け入れてくれた大学の川崎勇二監督に申し訳ない気持ちは今でもあります」

2017年 世田谷競技会5000m(大学デビュー戦)
2017年 松戸市陸上記録会5000m(引退レース)

◆消防士を目指して猛勉強

退部後は、長距離で鍛えた体力を仕事に生かしたいという思いから、消防士になることを決意。大学の公務員講座を受講し、面接対策は公務員予備校には通わず独学で学んだ。

「自分自身は口下手なので、多くの本を読み、どんな質問にも答えられるように対策をしました。また、各消防署のホームページを見て手話を必要としている消防署があることを知り、手話も勉強して面接に挑みました」

◆駅伝の経験を活かし、邁進する日々

 大学4年時に地方公務員試験に合格。現在は某市の消防署に勤務している。今年の4月に救助隊に異動したばかりだ。「経験は浅いですが、準備8割を心がけて行動しています。高校時代に千葉県高校駅伝の日から逆算して練習を積み、当日にピークを合わせた経験が生きていると思います。私は部活動で思うような結果は残せなかったですが、信頼できる指導者のもとで駅伝を頑張ることが出来、体力をつけることが出来ました。その財産を糧に、災害時に市民の命を救い、励ますことのできる消防士を目指して日々の業務に取り組んでいます」

(取材・写真=さとる)