ともだちはいろんな顔 

子どもの広場 ゆうび

 青くん(小1)と聖くん(小3)はとても仲のいい友達。よく二人で隠れ家ごっこやあめ作りなどをして遊んでいます。聖くんはゲームやスポーツが得意で、なんでもチャレンジして出来ちゃうタイプ。遊びを創り出すのも上手で、他の子を巻き込む力もあるのでよく遊びの中心にいます。青くんは、まだ体も小さく、遊びも運動も他の子の後を付いてまわっているような感じです。


 ある日、青くんがスタッフの夕さんと二人きりになったとき「聖は二人で遊んでる時とみんなで遊んでるときで違うんだよなー」と言いました。聞くと「みんなで遊んでる時はちょっと言い方とか強い感じ。二人の時は優しい」。


 最近のゆうびでは不登校の低年齢化もあり、小学生が増えています。同じくらいの年齢の子が集まるとおのずと集団ができ、その中に年齢や能力に応じた階級ができます。リーダー格になる子は無意識的にも意識的にも同調圧力でほかの子を動かしています。ゆうびのような「集団が苦手で不登校になった」と言う子が多い中でも、やはりこういうことは起こります。鬼ごっこなど能力の差がでる遊びでは顕著です。青くんが毎回すぐ捕まえられてずーっと鬼。聖くんはじめ、ほかの子は知らん顔。見かねて大きい子が「そろそろ代ってやれば」と言う時もあります。


 いつでもたのしく遊べればそれに越したことはないけれど、人はいろんな場面に応じていろんな顔を持っています。集団の中にいる自分と個としての自分。それをうまく使い分けるのもまた、ひどく人間らしいことです。もちろん集団で一人を攻撃するようなことは厳しく見ていかなければなりません。子どもたちはいろんな顔の自分、いろんな顔の他者の中で、傷ついたり傷つけたりしながら人間関係を学んでいます。


 子どもの人間関係は大人のそれの縮図です。能力の劣っている人やマイノリティーの人を下に見たり、集団だと気が大きくなって普段しないことをしてしまったり。私たちも子どもたちをたしなめる前に自戒せねばなりません。


☎04・7146・3501(NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江)