旅スケッチ 成田市

ふれあい毎日連載

成田山公園紅葉まつり

 11月に開催された、成田山公園紅葉まつりへ行ってきた。色づく紅葉を見るためと二胡の演奏を聴くためだ。大本堂の右側から公園内に入ったが、今年はモミジやイチョウはまだ色づいていない。本紙の発刊のあたりが、いちばんの見頃の時期かもしれない。

 竜智の池の浮御堂で二胡の演奏を聴こうと人々が集まり始めた。ワンシャオフォンさんが弾き始めると、音は水面を渡り、周囲の森へ沁み込んで行く。

愁いを帯びた音色に聴衆も静かに耳を傾けていた。至高体験に近い。

 演奏後に近くの書道美術館の2階で開催されている大昆虫展とクラフト展に足を運んだ。

標本箱の中の蝶の羽根が実に美しい。人だかりの中にはヘラクレスオオカブトがいた。千葉県立農業大学校の生徒さんの親切な導きで、子どもたちはその巨大な昆虫にそっと手を触れている。

 また、隣の部屋では手仕事を活かしたクラフト展も盛況だ。「フクロ―彫り」の作品がかわいい。「フクロ―は不苦労や福老に通じるものです」という製作者の言葉がおもしろい。

窓際のステンドグラスの作品にも注目。サックスの穴にガラスがはめ込まれていたのには驚いた。

 外へ出て、許可を得て茶室赤松庵の燃えるようなモミジを外から写真に収めた。公園では毎年ここのモミジが最初に色づくと言われている。

 書道美術館前で海苔巻きを販売していたのでランチにと購入。韓国キンパ専門店からの移動販売だ。日本の海苔巻きと違い、かすかにごま油の良い香りが漂い、具沢山だ。代表のユービンキムさんは「韓国の本場の海苔を日本の皆さんに提供して、おいしく召し上がってほしい」と笑顔で語ってくれた。

 ランチの後、イチョウを見上げながら坂道を歩いていると、枝が微かに赤く染まっているモミジを発見。

遠くの方では訪日旅行者がカメラを向けている。その先には見事な平和大塔がそびえていた。

 足の向くままに歩を進めると、滝壺に迷い込んだ。滝は流れていなかったが、時を経た岩の造形に目を見張る。

 仁王門へ戻り、たこ焼きと大判焼きを求め、ベンチでひと休み。

突然、歓声が上がった。門前で観光客が集合写真を撮っていたのだ。楽しいひと時を共に過ごした記念の瞬間。

 帰りは駅への近道を選んだ。静かな路地を行くと、TNFgeek(ギーク)という古着屋があった。同じフロアにカフェも併設されていたが、3時で閉めたあと。次回はここでコーヒータイムが良いのではと思った。  

◆自由気まま散歩データ。

京成成田駅~成田山公園内往復4キロ。約4時間。