カミング・ホーム ー加藤匠人(筑波大学蹴球部)

レイソルコラム
2018年撮影

 6月17日、柏レイソルは関東大学サッカー連盟1部・筑波大学蹴球部所属のMF加藤匠人(かとうたくと)選手の来季新加入を発表した。加藤選手は1999年生まれの22歳。2018年に柏レイソルアカデミーを卒業しており、大学経由でのトップチーム入りとなる。


 ポジションはMF。アカデミー時代は攻撃陣と守備陣のバランスを整えながら、長短織り交ぜた丁寧なパスを配球し、あるいは周囲との連携から相手のボールを奪うスキルに秀でていた。また、日々のトレーニング前に問題集と向き合っていた姿も印象に残っている。


 選手としての能力と学業での努力により門を叩いた筑波大。4年間で磨いた現在のプレースタイルを加藤選手はこう語る。
 「自分は周りを上手く使って、活かしていくタイプ。長所は右足でのチャンスメイクです。アカデミー時代からパスやシュート、セットプレーのキックの精度は磨いてきたことの一つで、大学でもこだわって取り組んできました。1つのパスやシュートで試合の流れを変えたり、より多くの勝利に貢献していきたいです。そのために嫌らしいポジション取りや予測、カバー能力、戦術理解力を高めて、攻守に走り回って自分らしくプレーしたいです」


 来季新加入を勝ち取ったきっかけは、この初夏の練習参加だった。加藤選手にとっては初めての機会。大学サッカーリーグや天皇杯でのプレーがアカデミー出身者の動向をフォローするクラブの目に留まり、声を掛けられたという。
 「純粋に嬉しかったです。夢であり目標であるプロになれるかもしれない絶好の機会。『このチャンスを絶対に掴むんだ』という強い気持ちもありました。当時は就職活動も行っていて、将来について真剣に考えている時期でもありましたからね。大学経由での加入が遠回りだと思いませんし、それを証明するために試合に出て活躍したいですし、アカデミー出身者のお手本になれればと思います。2週間で人生が変わりました!」


 2019年に中央大学から加入した上島拓巳選手や2020年の東洋大学から加入した松本健太選手に続く、「カミング・ホーム」を叶えた形。期待値は高まる。プレーを楽しみにしているレイソルサポーターへ向け、加藤選手はメッセージをくれた。
 「アカデミー出身者として、日立台に戻れることは光栄です。あのピッチで素晴らしい情熱的なサポーターの前でプレーすることは小学生から憧れていました。『ただいま!』と言えて本当に幸せですし、感謝の気持ちでいっぱいです。早く日立台のピッチに立って、多くの勝利を届けられるように毎日を大切に全力で取り組んでいきます。レイソルサポーターの皆様、共に闘いましょう!」


 大学サッカー屈指の名門で粛々とプレーを続け、夢を引き寄せた加藤選手。今後は大卒選手として即戦力という重圧も少なからずかかるだろう。彼に続く後輩たちへの希望の光と責任も担うことになる。そんな期待もしたくなる才覚を持った若者が日立台へ帰って来る。

(写真・文=神宮克典)