高級ブランドバッグから マスクまで
新型コロナウイルス対策で必着となったマスク。不織布、綿、冷感素材など、またデザインも豊富でオリジナルを着用している人も多い。
日常生活で、マスクを付けることは洋服を着るような感覚にもなっている。そのマスクのプリントを業種の一部としている会社が、松戸市にある株式会社キカワだ。
1921年(大正10年)創業、今年で100周年を迎えるキカワは、プリント加工、プリント生地販売、縫製品製作を主とする企業。創業当時は、国内で花形産業だった友禅の染色工場としてスタート。厳しい戦中、戦後を乗り越え、また日本人の和服文化から洋服文化への時代の変化を敏感にとらえてきた。
現在は、海外や国内の高級ブランド会社からの依頼でバッグの表、裏生地のプリントやベビー用品のプリント製造、有名アーティストやアニメの製品など幅広く手掛けている。
時代の潮流にそった ゲーム、アニメの製品
世の中の流れを見極める3代目社長の木川総一郎氏は、「当社では、時代の潮流に乗ったアニメやゲームなどの若者文化をとらえたプリントの製品づくりにも力を入れています。アニメのイベントで販売した製品を4万枚つくることもあります」と語る。
キカワの強みは、千葉県唯一のオートスクリーンの機械を使ったプリントだ。そして、工場直取引の利点を生かした3つの柱が、「高品質」「短納期」「ロット制限なし」。5~10㍍の最小生産単位のプリントでも受け付けている。個人の自筆の書やイラストデザイン、自前のアロハのデザインのものも可能だ。
キカワのオリジナル・デザインを生産することもあり、繊細な色の調合なども売りの一つ。 個々の技術力の高さはもちろんのこと、社員が社長と対等に語り合えたり、社員同士のコミュニケーション能力の高さなどの社風が、他に真似できないオリジナル製品を追求するキカワの原動力にもなっている。
(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)
松戸市小山356‐1 ☎047・368・3161