新聞紙で環境保全

ふれあい毎日

「しまんと新聞ばっぐ」の楽しさを伝える船橋の菊野千寿子さん

 「高知県の四万十川流域で販売するものはすべて新聞紙で包もう」と提案した人がいる。同県在住のデザイナー、梅原真氏だ。高知県最後の清流、四万十川は、その美しい景観とは裏腹に、近年では大雨の後に川原の木々にビニール袋などのゴミが引っかかることが問題となっていた。


 この状況を憂いて、梅原さんのアイデアに共感した地元の主婦、伊藤正子さんは「新聞紙で包むだけでは見栄えが悪い」と、新聞紙を折りたたんでバッグを作ることを考案。これが「しまんと新聞ばっぐ」の始まりだ。


 船橋市在住の菊野千寿子さんは、もとはリトミックの先生。子どもたちの夏休みのアクティビティを探していた時に、しまんと新聞ばっぐに出合った。その魅力に惹き込まれ、今では日本にまだ10人程しかいない「上級インストラクター」の資格を取得。現在は、船橋市を中心に近隣都市で積極的にワークショップを開催し、しまんと新聞ばっぐの楽しさを多くの人に伝えている。


 紙とでんぷん糊だけで作られるバッグの耐久性は意外にも高く、2㍑のペットボトル3本を入れても耐えられる強度。縦長のものはワインボトルなどを入れるには最高にオシャレだ。


 MOTTAINAI(モッタイナイ)もORIGAMI(オリガミ)は、今では世界の共通言語だ。それらの概念を併せ持つしまんと新聞ばっぐが、世界でスタンダードになる日もそう遠くないかもしれない。「今後は全国や世界を旅して、その土地の新聞でバッグを作り、土地の人々と交流出来たら」と夢を語る。