秋の気配が感じられるこの季節、スポーツやイベントなど屋外で活動することも増えてくるのではないかと思います。今回はそんな時に気になる「大人の頭部打撲」についてお話したいと思います。
頭をぶつけた際に病院を受診すべきなのか、特に救急車を呼ぶべきなのかを判断するのは難しいですよね。基本的には迷った場合は病院に行って相談するのが安心ではありますが、病院ではどのような時にCT等の検査をするのかを知っていると判断の目安になるかもしれません。まずCTの撮影を勧める基準に高齢者(概ね65歳以上)というのがあります。この年齢になるとCTによる被爆のデメリットは小さい一方で、頭部打撲により頭の中に何かが起きる可能性が上がってくるためです。抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を内服されている患者さんもCT撮影を勧めます。その他は、交通事故や高所からの転落など頭をぶつけたエネルギーが大きい場合も、たとえ症状がなくともCTでのチェックを行います。
一方で、救急車を呼ぶかどうかは緊急事態かどうかということになりますが、頭の中に緊急事態が起きている場合はほとんどの場合で症状があります。いつもと様子が違う、呼びかけても反応が鈍い、あるいは反応がないなどは迷いなく救急要請しましょう。
頭部を打撲した日に何もなく、CT検査で異常がない場合でさえも、一週間〜一ヶ月くらい後に頭痛や半身の脱力、いつもと様子が違うなどの症状をきたす慢性硬膜下血腫というものがあります。救急車を呼ぶほどの緊急性がある状態ではありませんが、気になる症状があれば脳神経外科を早めに受診するようにしましょう。これは特に高齢の方に多く、お若い方はそんなに心配する必要はありません。
打撲した場所に縫合が必要な場合も、もちろん受診する必要がありますが、清潔なタオル等で圧迫して出血が止まっていれば救急車を呼ぶ必要はありません。
「たんこぶがあれば安心」とか、「逆に危ない」とか色々な迷信がありますが、たんこぶの有無は重症の目安でも何でもなく、病院を受診するかの判断には役に立ちません。
社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター
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