早期発見・早期治療 

名戸ヶ谷病院 脳卒中センター
社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター・センター長脳神経外科部長 井上 靖章

 特発性正常圧水頭症という病気をご存知でしょうか。難しそうな名前ですが、難病や珍しい病気ではなく、65歳以上の約2%、85歳以上になると約8%の方がこの病気を持っているということが分かっています。『でも自分の周りにそんな病気の人はほとんどいないよ』と思いませんか?


 実はこの病気は、その認知度の低さゆえ見逃されていることが多いとされていて、認知症やうまく歩けなくなったなどの高齢者特有の症状の一定数が、実は特発性正常圧水頭症が原因ではないかと言われています。


 症状には歩行障害、認知機能障害、排尿障害の3つがあり、特に初期は軽度の歩きづらさ、例えば階段を降りにくいとか、スムーズに歩けずに横断歩道を信号が変わるまでに渡り切るのが辛くなった、のような曖昧な症状が特徴的です。


 そして徐々にうまく歩けなくなり、認知症の症状も出てきて、そこに加えておしっこを我慢できず漏らしてしまうという症状も出てくることがあります。どの症状も想像するだけでとても辛いですよね。寝ていてトイレに行こうとしたらうまく歩けずトイレに間に合わず漏らしてしまう、そしてご家族には最近認知症が進んだと言われ、いわゆるフレイルの状態の原因ともなってしまいます。


 このQOLを著しく損なう病気は、脳のCTやMRIで診断がつくことが多いため、ご自身でひょっとしてと思う方や、ご家族にそのような方がいらっしゃる場合は、この特発性正常圧水頭症の診療を専門的に行っている医療機関で相談してみることをおすすめします。


 これらの症状は特に早期に発見できた場合、脳や脊髄を満たす水を逃がすカテーテルを埋め込む『シャント手術』というものを行えば改善し、QOLも通常のレベルまで回復することが知られています。


 名戸ヶ谷病院脳神経外科では、このシャント手術を年間150件程度と世界トップレベルで行っており、熟達した術者が局所麻酔で20分程度で手術を終えることができます。何歳になっても元気で幸せに暮らせるように、気になる症状がある場合はいつでも遠慮なく受診して下さい。


社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター(新柏駅から徒歩約7分)
☎04・7167・8336