子どもの頭部打撲時の対応 

名戸ヶ谷病院 脳卒中センター
社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター・センター長脳神経外科部長 井上 靖章

 外に出るのが気持ち良い季節になりました。脳卒中の予防、健康管理のためにも定期的な運動を今こそ開始してみてはいかがでしょうか。


 外で遊ぶ機会が増えると、頭を打撲して受診するお子さんもいらっしゃいます。今回は子どもの頭部打撲時の対応についてのお話です。


 もしお子さんが頭を強く打ってしまったら、まずは安全確保を優先して下さい。例えば道路の真ん中などにいる場合は直ちに安全な位置に移動してさらなる危険を回避することが重要です。その上でお子さんの様子を注意深く観察しましょう。

 意識を失っている時間があった、ぼんやりしている、会話が噛み合わない、手足のどれかを動かさない、いつもと様子が違う等があれば、救急車を呼ぶなどして直ちに受診して下さい。その他すぐに病院で検査を受けたほうがいい状態としては、高所からの転落や交通事故、打撲した場所を触ると骨折しているかもしれない、広範囲に柔らかいたんこぶが広がっている、激しい頭痛や嘔吐等があります。


 病院では状況に応じてCTを撮影します。ただし子どもはCTの被爆量でも発がんリスクが増えるとされており、CTで治療すべき異常が見つかる可能性が低い場合は検査をせず自宅で経過観察をして頂きます。これは北米や英国で行われた大規模な研究のデータをもとに判断するのが一般的で、具体的な判断材料を一般の方にもわかりやすくまとめると概ね前述の内容となります。


 頭の中に異常があるだけでなく、帽状腱膜下出血と言って、一見わかりにくい場所に多量の内出血をしていて貧血やショックになってしまうこともあり、私達はとにかく診察を重視します。


 頭を打ってひとしきり泣いて、その後はいつもと変わらない様子であれば基本的には心配いらないことが多いですが、何か気になる点がある場合は、受診して医師の診察を受けるようにして下さい。


社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター(新柏駅から徒歩約7分)
☎04・7167・8336