年度末の風物詩…机のお引っ越し
終業式や卒業式を終えると、いよいよ春休み。新しい教科書やクラス替えに想いを馳せたり、新たな学校や環境に飛び込む時を前に緊張が高まったり、何かとそわそわする時期ですね。
それと時を同じくして職員室の中では新年度に向けて一気に模様替えが加速します。新しい学年団が発表され、時間割が組まれ、連日打ち合わせを進める間隙(かんげき)を縫って、机のお引っ越しが始まるのです。
一般的に新しい担任が誰になるのかは始業式や入学式までは秘密です。ですから、机の配置で知られてしまわないように春休みになった途端に「それっ!」とばかりに引っ越します。
当然、前の先生が動かないと移れないので、引っ越しも同時に動き出すのが基本です。しかし、例年春休みには部活動の合宿も組まれることがあるので、最低限合宿に旅立つ前に机を整理して空ける必要があります。
生徒には整理整頓を心がけるように日頃から注意している先生方ですが、みなさんも職員室を思い出してみてください、必ずしも整理整頓が完璧な先生ばかりではありませんよね。比較的きれいにしている先生でも、受け持ちのクラスの資料、学年の仕事、委員会の資料、授業用の教材等など盛りだくさんです。それらを精査しながら、保管すべきものと処分すべきものとに分別していきます。
しかし、これが一筋縄ではいきません。皆さんも年末の大掃除を思い浮かべてみればおわかりになると思います。机の上には一年分の思い出が詰まっていて、写真やら手紙やらを見つける度に手が止まってしまうのです。
学級日誌や作文、クラス通信なども掛け替えのない思い出の一ページです。早く新しいスタートにむけて準備しなくてはならないのに、しっかりと思い出を噛みしめながら「大事にとっておく」に仕分けします。
そうして年々ためられてきた大きな思い出BOXも抱えながら、今年度も引っ越しをがんばります。
■K太せんせい
現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内などを執筆する。