K太せんせいの放課後の黒板消し64

K太せんせいの「放課後の黒板消し」

 整備、その時。

 コロナ禍とはいえ、少しずつ部活動や各種大会が再開し始め、練習試合に赴く週末が増えてきました。この時期、チームには新入生が入部し、新たな活気を呼び込んでいます。

 さて、練習試合の一場面でグラウンド整備があります。体育館の競技であればコート整備や片付けですね。この時間は、実は生徒にとってはコミュニケーション能力が試される場面です。なぜなら、整備はお互いに譲れない思いがぶつかり合う場面だからです。ゲスト校としてはグラウンド設備を貸していただいていることへの「感謝」を示す絶好の場面です。

一方で招いているホスト校としては、遠くからわざわざ足を運んできてくれた相手に整備までさせるわけにはいかないという「おもてなし」の心が動きます。例え、お互い様であろうと、実戦練習が出来る!その意味で来てくれただけで「感謝」なのです。

この両チームの選手が、トンボ(グラウンドをならす道具)を取り合います。監督から「感謝を込めて整備させてもらいなさい」と言われ、キャプテンから「絶対引くな(負けるな)」という指示が出ていることも多く、選手たちは必死です。

中には「じゃんけんで決めよう」と微笑ましい解決方法に着地する時もありますが、時に整備するという本質を忘れてトンボを奪い合うことに終始するような雰囲気が流れることもあります。

特に試合中盤で行う整備では、争っている場合ではありません。少しでも早く、丁寧に仕上げて試合再開に繋げる必要があるからです。

実際、野球ではこの整備の間も投手はキャッチボールを続けて肩を冷やさぬように努めます。一方、鉄のスパイクで駆け回り、滑り込んで荒れた部分が一部でも残れば、イレギュラーバウンドや転倒時の交錯など怪我の危険が増すので、要注意です。整備からも多くを学ぶ練習試合の一日です。

■K太せんせい

現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内なども執筆する。