今回ご紹介する作品は、本年度アカデミー賞2部門を受賞した『ザ・ホエール』。異色の室内劇です。
主人公は、主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーが演じる余命わずかで体重272キロの孤独な男、チャーリー。
恋人アランを亡くしたショックから現実逃避するように過食を繰り返してきた彼は、大学のオンライン講座で生計を立てている40代の教師。
歩行器なしでの移動もままならないチャーリーは入院を拒み、アランの妹であり看護師であるリズ(ホン・チャウ)に頼っている。
症状の悪化で自らの余命が幾ばくもないことを悟ったチャーリーは、離婚して以来長らく音信不通だった17歳の娘エリー(セイディー・シンク)との関係を修復しようと決意するが…。
チャーリーの人生の中で残した後悔、憎しみを描いている今作では、胸を揺さぶられる圧巻の演技だけでなく、彼の人間味溢れる姿に誰しもが共感してしまう場面もあるかもしれません。
物語の最後まで目が離せない今作品を、ぜひ、キネマ旬報シアターでご覧ください。
(鮑愛)