瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと

キネマ旬報シアターおススメシネマ
今回ご紹介するのは、ドキュメンタリー作品
『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』(7月2日~15日公開)

 今年5月で100歳を迎える予定だった作家・僧侶の瀬戸内寂聴さん。駆け落ち、不倫、三角関係など自らの体験を私小説の形で次々に発表し、世間のバッシングに晒されるも作家として不動の地位を確立。大正・昭和・平成・令和4つの時代を生き、昨年11月に亡くなる直前まで月刊誌・新聞の連載をこなした、まさに現役作家。51歳で出家してからは僧侶としても活躍しました。

 彼女の晩年を追ったのは、NHKスペシャル「いのち 瀬戸内寂聴 密着500日」でディレクターも務めた中村裕監督。17年にも及ぶ密着でタブーを取り去った“裕さん”と“先生”は、日常的に全てを報告し合う特別な関係。法話では数々の金言や名言で人々を魅了した寂聴さんが、自宅の台所で号泣したり子どものように笑う姿も記録。コロナ禍の日々などドラマティックで波乱万丈な人生がスクリーンに映し出されていきます。
 「晩節なんか汚したっていい。好きに行動すればいいの」

 きっと誰も知らない寂聴さんがそこにいます。是非ご覧ください。
(海老原 敦子)