『戦争を選ばない子』をそだてる②

子どもの広場 ゆうび

前号より続き】


 長野県の小さな村で小学校教員をしている友人と戦争教育について意見を交わしました。彼女の勤めている学校は全校生徒11名。

 生徒会のようなものはなく、何か決めることがあるときは1年生から6年生まで全校生徒で話し合って決めていると言います。その際大事にしていることは「できる限り多数決で決めない」こと。

 どんな自己主張も目的に沿っていて、相手の権利を侵害していなければOKで、自分の意見も相手の意見も双方を大事にしながら、皆が納得できるものを目指し、話し合っていくということを小さいうちから学んでいるそうです。


 もちろん、生徒数が少ないから出来ることで、どの学校でもできることではありません。ですが、もっと小さな単位…クラス、友達グループ、そして家庭内で、子どもと意見を交わし、何かを決めていくということはできるはずです。

 自分の意見を主張すること。それが集団の中で受け止めてもらえること。それによって何かが変わること。そういった経験は子どもにとって、とても大きなものです。自分が何を言ってもどうせ変わらないからと行動しない大人が多い世の中です。

 自分の意見は大切なもので表明する価値があると信じる人は大人になったときに「行動する人」になります。投票に行く、不当な対応に声を上げる、寄付をする、署名する、SNSで発信する等…自分や社会の未来に対して人任せにせず、小さくとも何か行動する人がたくさん増えれば、世の中はきっと変わります。


 話し合いと言っても、SNSなどで溢れている、いわゆる論破のような相手の意見を潰すだけの話では意味がありません。どんな物事にも一面だけでなく多面的な見方があります。大切なことは自分と異なる主義・主張を持った人を排除しない。意見が違っても敵じゃない。自分も相手も少しずつどこか間違いを持っているということを自覚することです。自分が100%正しいと思い込んだ時、戦争は起きるのかもしれません。


 友人は、「なぜこうして面倒くさい話し合いをしているかわかる?話し合いで解決していく人たち、つまり暴力や実力行使で問題を解決しない人たちを育てたいんだよ」と生徒に伝えているそうです。未来の世界を左右する大事な教育です。 


☎04・7146・3501 FAX同7147・1491(NPOゆうび小さな学園)杉山麻理江