結婚式みたいなお別れ会 -うっちーありがとう-

子どもの広場 ゆうび

 本コラムの前任者でゆうびの元代表、内堀照夫(以下うっちー)が昨年末、逝去致しました。93歳でした。「18歳で教員に。教室を喫茶店風に改装し、独創的な授業。子ども、保護者から絶大な支持を受けた。当時、類を見ない普通学級に自閉症児を入れての学級運営。県外からも入学希望者が来た。59歳で『自分の理想の学校を作りたい』とゆうび小さな学園を設立。以後90歳を過ぎるまで不登校生、親たちの声に耳を傾け続け、様々な年齢、特性の人が集う居場所を作り、遺していった…」。これがうっちーの簡単な略歴です。


 先日「うっちーありがとうの会」を開催しました。どのような形で行うかは直前まで暗中模索でした。「お葬式のような形は寂しい。うっちーはお祭りが好きだった。うっちーの思い出をもとに演劇をやりたい。じゃあスピーチがあり、余興があり、結婚式みたいな感じでいこう!」と決まりました。会場には毎年フェスティバルでうっちーが作っていた風車をたくさん飾り、うっちーが好きなお酒を並べ…。代表の座を引き継いだスタッフはうっちーにもらった燕尾服で司会に立ちました。余興はまず、学園生やスタッフにうっちーとの思い出を聞くインタビューの上映。なぜか皆、怒られた話ばかりで会場は大笑い。演劇ではうっちーが、わが子の将来を嘆く母親を𠮟りつけるシーンもありました。教員時代を知る同僚の先生のスピーチでは、「授業の仕方、教育観について何度もご指導いただいた。先生がゆうびを離れることになり、見送りに伺った当日の朝までご指導いただいた」と涙ながらに語ってくれました。いつでも子どもの味方。いつでも全力。時に厳しく、時に温かく、生きることそのものを肯定し応援してくれた。うっちーからの愛が溢れた会でした。


 会終了後も思い出話が尽きない大人たち。と、外で歓声が。雪が紙吹雪のように豪快に園庭を舞い、子どもたちがきゃーきゃー喜んで駆け出していました。きっと、話に熱中している大人たちの傍ら、退屈していた子どもたちに、うっちーが「遊べ~!」と降らせたのだと思います。


☎04・7146・3501(NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江)