『戦争を選ばない子』をそだてる①

子どもの広場 ゆうび

 ロシアの軍事侵攻が始まって以降、心が完全に晴れる日はありません。大人でもどう捉えていいのか分からないこの状況を、子どもたち・若者たちはどう感じているのでしょうか。


 丈くん(小5)がゲームの画面を見せにきて、こう言いました。「ここロシアだよ。めちゃくちゃに破壊してやろうっと」。そのゲームでは世界の国を舞台にキャラクターが戦いを繰り広げるようです。画面上のロシアの街は瓦礫と化していました。


 海くん(小5)と春さん(小6)。室内ホッケーのスティックを銃に見立て「ウクライナで撃ちまくるぞ!」と言いながら遊んでいる。私はどうしたものか迷いましたが、思わず「ウクライナでたくさんの人が死んでいるよね。その遊びは私は、なんだか見ていて悲しい気持ちになる」と話しました。


 その様子を見ていた翔くん(中2)と芽さん(24歳)が私の傍らに来ました。翔くん「ほんとロシアのやってることってありえないですよねー」と話し出しました。「戦争って一番選んじゃダメな方法だし、弱い一般の人に暴力ふるうって、やってることがいじめと同じじゃないですか。俺をいじめてた奴も…」と話は翔くんの小学校時代の話になっていきました。


芽さん「今までも紛争とかたくさんあったんだろうけど、ああいう大きな戦争は私が生まれてから初めてで…。人類ってやっぱり馬鹿なのか。進化できないのかと絶望してしまう」と想いを吐露してくれました。


 連日、深刻なニュースに触れ、どの子も多かれ少なかれ不安を持っているはずです。それを子どもは遊びの中で表現し、消化しているのでしょう。若者たちは自分の経験と照らし合わせて考えてみたり、同じ人間という立場から存在を憂いたり、本人たちなりに心のモヤモヤをなんとか表現しようとしている感じがしました。歴史の解釈や政治的な主義・主張については、各々が同一の見解を持つことは不可能ですし、そうする必要もないと思います。ですが「いかなる理由をもってしても、暴力であなたの命も相手の命も奪われてはならない」という一点においては、子どもたちと共有したい。「戦争はしない」、そう教えることが教育にできる唯一の仕事です。


 【次号に続く】

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