人を喜ばせたいという思いが、波紋のように広がってく

夢叶え人

 特別養護老人ホーム『柏きらりの風』(柏市西原)の施設長、宇佐見さくらさん。施設長という名前が持つイメージとは遠く、気さくで明るいとても魅力的な方だった。


 宇佐見さんのインタビューのために施設を訪ねたが、その短い時間に次々と職場のスタッフたちを紹介してくれた。
「◯◯さんを紹介します」「うちの◯◯さんです」
 自分がインタビューを受ける時に、こんなにスタッフの紹介をする人はいないだろう。
 みんなで作り上げることが好きだと宇佐見さんは言う。


 「自分一人だと、どうしてもやることにポコポコと穴があいてしまう。でも、周りに人がいるとたくさんの知恵が集まる。同じ方向を向いて協力し、一緒に作っていく感覚がたまらない」


 アイディアマンのように、毎日毎日新しい発想をする宇佐見さんの言葉を拾い、スタッフのみんなが実現に向けて動く。できないと否定するのではなく、やってみようとする空気が、とても明るい職場を作っているのだなと感じられた。


 そんな宇佐見さん、幼少期はどんな子だったのだろう。


 小さい頃は何にでもなれると思っていた。警察官、カメラメン、声優…夢はたくさんあったし、できないことはない。そんな気持ちだった。それがいつの頃か少しずつ変わっていく。


 思春期に入ると突然、家族に介護が必要になった。家の中に介護が必要な人がいる環境。もちろんできることはやっている。でも「自分は何もできないんだな」そんなことを感じるようになる。


 そんなとき、ヘルパーさんが家に来る。太陽のように明るい人だった。家の中に光が差し込んだようだった。

 「あのときのヘルパーさんがとっても魅力的な人だったから」それが今の仕事につくきっかけになった。


 ここ数年、コロナ禍でイベントができない時期に『オンラインのど自慢コンテスト』を開催したり、高齢者が施設内でも楽しめることをしてきた宇佐見さん。


 「次はファッションショーをやるの!」とワクワクした笑顔をこちらに向けた。あの日、太陽のように明るかったヘルパーさんがいて今の宇佐見さんがいる。
 インタビューをしながら、太陽のように明るいのは宇佐見さん本人だなと思った。