夏の定番、セミの鳴き声を楽しもう!

わぴちゃんさんぽ

 まもなく7月。気象庁によれば梅雨明けの平年日は7月19日なので、まだまだ梅雨の真っ最中ではありますが、不思議なもので7月の声を聞いただけで、気持ちは一気に夏へと傾きます。今回は夏の散歩道の定番、セミの鳴き声について取り上げたいと思います。

 東葛地区でよく耳にするのは、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシの5種類。私は自宅周辺でその年初めてセミの鳴き声が聞こえた日(初鳴日)の記録を取っていて、昨年(2021年)はニイニイゼミが7月10日、アブラゼミとミンミンゼミが7月22日、ヒグラシが7月27日、ツクツクボウシが8月10日でした。

ミンミンゼミ(左) ヒグラシ(右)

 この中で先陣を切って鳴きはじめるのがニイニイゼミ。6月中に鳴きはじめることも多く、私の記録で最も早い初鳴日は6月4日(2019年)でした。鳴き声はシーーーチーーーーという甲高く軽い感じの音色です。

 子どもたちの夏休みが始まるころ、本格的に鳴きはじめるのがアブラゼミです。その鳴き声はジュクジュク…という重苦しい音色。声は少しずつ大きくなり、やがてピークに達した後、徐々に小さくなって鳴き止みます。まるで甲子園のサイレンのような感じです。

 同じくらいのタイミングでミンミンゼミやヒグラシも鳴きはじめます。ミンミンゼミはセミの鳴き声の代名詞のように使われていますが、じつは西日本の平地や街中ではわりと珍しい存在であったりします。代わりに西日本の平地を牛耳っているのがクマゼミです。

ツクツクボウシボウシ(左) クマゼミ(右)

 クマゼミの声はかなり大きく、シャン・シャン・シャン・シャンと力強く鳴きます。近年はこのクマゼミの分布が東に拡大しており、箱根の関を越えて関東地方にも侵入してきています。すでに東京などではありふれたセミのひとつとなりつつあります。2016年には私のところでもついにクマゼミの声が聞こえ、かなり驚いたのを覚えています。

 ツクツクボウシは8月に入るとちらほらと声が聞こえるようになり、以降9月にかけて鳴き続けます。そのことから夏の終わりをイメージする人も多いかもしれませんね。

 最近は、アブラゼミが夜に鳴く事例が増えてきています。これはおそらく、照明やヒートアイランドなどが影響していると考えられます。


わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。

千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。わぴちゃんホームページ