チュウゴクアミガサハゴロモ急増中、外来昆虫は他にも!

わぴちゃんさんぽ
チュウゴクアミガサハゴロモ(左)とアミガサハゴロモ(在来種)

 今夏、急に目立つようになってきたのがチュウゴクアミガサハゴロモという昆虫です。中国大陸~東南アジアの原産で、国内では2017年に大阪で採集されて以来、じわじわと広がりつつあります。カメムシ目ハゴロモ科に分類される昆虫で、セミに近い仲間です。成虫は8~10月ごろに現れます。


 日本在来で同じ仲間のアミガサハゴロモに似ていますが、とまったときの翅の形と色味が異なります。アミガサハゴロモが抹茶色~こげ茶色なのに対し、チュウゴクアミガサハゴロモは赤レンガ色です。このチュウゴクアミガサハゴロモ、少なくともわたしは、昨年はまったく見かけませんでしたが、今年はたびたび目にしています。

 ところで、昆虫界も外来種が増えてきています。以降、東葛地区でも見られる種類を字数が許す範囲でいくつか紹介します。


 まずは特定外来生物のアカボシゴマダラ。関東近郊では中国に生息する亜種が人の手によって放たれ、それが定着しています。その結果在来のゴマダラチョウが大きく数を減らし、今や千葉県レッドリストで要保護生物(Cランク)に選定されるほどです。

アカボシゴマダラ(左)とアメリカピンクノメイガ(右)


 次にアメリカピンクノメイガ。「アメリカから来たピンク色のノメイガ」という、とても分かりやすいネーミングです。幼虫はサルビアの仲間を食べて育つので、サルビアのまわりを探すといるかもしれません。


 東南アジアなどに生息するムネアカオオクロテントウという外来のテントウムシもじわじわ増えてきています。これはクズにつくマルカメムシを食べます。 マルカメムシはクズの汁を吸うので、クズの勢いをコントロールする役割があります。そのためムネアカオオクロテントウが増えると、クズが勢いを増す可能性があります。


 最後にキマダラカメムシを紹介します。キマダラカメムシは東南アジアなどに生息する南方系の大きなカメムシです。日本にやってきたのはかなり古いのですが、急拡大したのは21世紀に入ってからです。特にこの数年は目を見張るような勢いで増えており、もちろん東葛地区でもふつうに見かけます。

ムネアカオオクロテントウ(左)とキマダラカメムシ(右)


他にもここには書ききれないくらいたくさんの種類の外来昆虫が入りこんできています。興味があったらぜひ調べてみてくださいね。


わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール

気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。 千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。

わぴちゃんホームページ