「寄贈記念 和田誠展 楽しみのために描く」

ちば湾岸エリア

市川市文学ミュージアム

開催中~17日まで

入場無料

市川市

 市川市文学ミュージアムで「寄贈記念 和田誠展楽しみのために描く」                      が開かれている。多摩美術大学からの借用資料と、遺族から寄贈の品々など、111点もの原画、直筆原稿、文具などの展示品は様々なジャンルで豊かな才能を発揮してきた和田誠(1936年~2019年)の魅力を余すところなく伝えている。

 「小学校時代の絵日記」や愛用品、陶版画などを展示。中でも微笑ましいのは剃刀やカッターの刃、万年筆のペン先が入った小瓶だ。これも和田氏の歴史の一端だ。展示は「和田誠とは何か」をテーマに、魅力的に展開、見飽きることがない。

 初の自作絵本「ぬすまれた月」は、詩的でファンタジーな物語の中に科学的要素も散りばめられている。エッセー集や似顔絵のコーナーでは誰もが目にしてきた本やイラストと出合える。

映画の仕事や俳句、井上ひさしや谷川俊太郎、村上春樹との仕事、ジャズを中心とした音楽など、多岐にわたる才能に驚く。

 企画展の見どころを「文学館での開催ということで、文筆家としての和田誠さんの一面や言葉に触れてほしい」と学芸員の沼尻日向子さん。「来館者の年齢によって深く印象に残る作品があると思います」と話す。都内から来たという女性は「どの分野にも和田誠さんのハートを感じる」と、心から展示を楽しんでいる様子。

 各々の中で定着していた「和田誠」が、この企画展を見ると、別の分野の才能にも触れられて、懐かしさと共に驚きの体験が出来る。ぜひ覗いてみて欲しい。

 3階資料室では、和田誠の著書をまとめて紹介している。会期は3月17日(日)まで。月曜休館。

▽問☎047・320・3334。市川市鬼高1—1—4(メディアパーク市川2階)。