「風神雷神」と聞くと、俵屋宗達や尾形光琳の画を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。そのモチーフは私たちにとってなじみ深いものです。
成田山に伝わる「風神雷神図」は、釈迦堂(旧本堂・重要文化財)にはめ込まれていた壁画を、15年程前に額装したものです。釈迦堂に上がり、東側の受付から右上を見上げたところに「雷神」が、その反対西側のやはり見上げたところに「風神」が貼り込まれていました。どちらも本堂の入口の方を向いていたことになります。安政の本堂の荘厳を彩り、多くの参拝者をみつめてきた「風神雷神」の画は、成田山らしさあふれる名画です。
見れば見るほどに惹きこまれる、なんとも愉快な「風神雷神」の表情。初詣とともに、ぜひそのご威光をお授けいただきましょう。2月16日まで開催する「新春特別展 成田山の美術-新勝寺に集まる古今の書画・工芸」にて展示しています。
今回は「画の力」をお届しました。新年が、成田山の「風神雷神」のお姿のごとく、生き生きとした年になりますように。(学芸員・谷本真里)