徳野大空(1914-1974) 火山
97.5×137㎝ 紙本墨書 2曲半双屏風
山の麓にマグマが溜まり、今にも噴火しそうな力の凝縮を感じるこの書は、火山のエネルギーを直截(ちょくせつ)に伝えてくれます。文字を幾分低めに書き、紙面の上部を空け、落款印を右上部に鈐印(押印)することで作品全体の重心が低くなり、文字に安定感が出ています。
書作品は大抵平面の中で表現がなされますが、折れ目をつけて展示する屏風仕立てなので、山脈が連なるような立体感も出ています。これを書いた徳野大空は1月にこの作品に取り組み、暖房のない部屋で書き上げた時は発汗していたそうです。
書の力とは文字の書き振りだけではなく、用具用材や表具などを含めた、総合的な力なのだと思います。
この作品は4月27日から開催する「生誕110年 歿後50年 徳野大空を中心に」展で出品します。(学芸員 山﨑亮)