K太せんせいの放課後の黒板消し 69

K太せんせいの「放課後の黒板消し」

 デジタル文化祭最前線

 学園祭、文化祭は文化部の生徒たちが練習を積み、仕上げてきた演技、演奏や研究、作品を披露する青春の祭典です。運動部の生徒たちも招待試合や模擬店、体を使ったアトラクションで盛り上げます。

 さて、この文化祭が近年目覚ましい進化を遂げていることをご存知でしょうか。

 たとえば中学一年生がデジタルネイティブぶりを発揮して、校舎まるごとを仮想空間(バーチャル)として再現し、その中で鬼ごっこをするゲームブースを作れば、たちまち子どもから大人までが殺到します。そしてその待ち時間には簡単なプログラミング体験ができる場所を作り、インストラクターまで中一生がハキハキと請け負います。

デジタル環境を整え、授業の場や、リモート学習など、近年の教育現場は著しく変化をしています。この出展はその「種」が「好きこそ物の上手なれ」の如く、彼ら自身の力で咲いていった部分だと感じます。

同様にステージでのバンド演奏にも、コンピューターで音をミックスする生徒や、ボーカロイドと呼ばれる歌声合成技術を活用した作品も現れています。体育館ではバレーやバスケの招待試合の一方で、大画面でのeスポーツ大会が大盛り上がりを見せています。

 文化祭の告知もポスターや看板だけでなく「予告動画」が「配信」されるようになっています。また、オープニングセレモニーではプロジェクションマッピングが体育館の中を彩ったりAR(拡張現実)技術で現実の映像にCGが重ねられたりします。

 入場もネット予約が必要なところが増えてきました。模擬店では「電子マネーは使えますか?」といった会話が聞こえてきます。

おや、実行委員たちは相変わらずアナログなトランシーバーを備えて走り回っていますね。いやいや、実はその行動はすべてSNS上でリアルタイム共有されているのです。「手作りの青春」であることに変わりはないのですが、世界はデジタルの力で何倍にも広がっていくようです。

■K太せんせい

現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内なども執筆する。