書の力 第三十五回

ふれあい毎日連載
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伝飛鳥井雅有(1241一1301)筆 

「八幡切(やわたぎれ)」 鎌倉時代 彩箋墨書 一葉 23.5×16.0㎝

成田山書道美術館蔵

『千載和歌集(せんざいわかしゅう)』の写本で、もとは冊子本だったものがいくつかに切断され、この断簡(だんかん)作品は現在、古筆手鑑(てかがみ)『濱千鳥(はまちどり)』に収められています。

作品名の「八幡切」は、京都の石清水八幡宮の社僧であり、寛永の三筆のひとりである松花堂昭乗が大切に所蔵していたことから、名付けられました。

伝称筆者である飛鳥井雅有(あすかいまさあり)の活躍期に近いころの鎌倉時代の書写と考えられ、懐の広い整った字形で、ゆったりとした穏やかな書です。

藍に染めた紙の繊維を水の動きによって雲形の文様に形づくり、漉き上げた雲紙を用いています。雲紙は平安時代から近代に至るまで盛んに使われており、日本独特の装飾紙です。なかでも「八幡切」は雲紙の美しい作品で、緩やかな波文様と平安古筆を思わせる優雅な書きぶりとの調和が魅力です。

成田山書道美術館の新春特別展では、書を書くための紙の加工に焦点をあてた展覧会「書の紙」を2月18日(日)まで、開催しています。箔を撒(ま)いたり継ぎ合わせたり下絵を描いたり、様々な装飾が施された書の紙をお楽しみいただけます。(学芸員 田村彩華)