豪彊《書の力 第25回》

ふれあい毎日連載

豪彊(ごうきょう)
尾崎 邑鵬(おざき ゆうほう)(1924-)
紙本墨書 一幅 54.0×110.1㎝ 令和4年

 大正13年京都府宮津市に生まれた尾崎先生は、幼少の頃から書に親しみ、北魏(ほくぎ)からはじまって明清時代の倪元璐(げいげんろ)などにいたるまで幅広い書を追求することで、自らの書風を形成してきました。
勢いがあり強いことを意味する「豪彊(ごうきょう)」の二文字を、六朝時代の楷書をもとにして粘り強く筆を運び、堂々と揮毫しています。少し傾いているようにも見える「豪」も二文字で絶妙なバランスがとられ、六朝書の素朴な風合いが魅力です。
唐時代の書論「書譜(しょふ)」では「人書倶に老ゆ」《人は歳をとると書も老練になる》といいますが、書と気持ちは老いることなくまだまだ勉強と、意欲的に活動される尾崎先生。今年数えで百歳を迎えます。
成田山書道美術館では、尾崎邑鵬先生の80年にわたる書業を振り返る展覧会を2月18日から4月16日まで開催します。実直に古典を見つめ、模索し続ける作家の多彩な書をお楽しみください。(学芸員 田村彩華)