「書心画」中野越南《書の力 第17回》

ふれあい毎日連載

一幅 紙本墨書 61.2×127.0㎝

成田山書道美術館蔵

「書は心画なり」という前漢の学者揚雄(ようゆう)のことばは、書には書き手の心が表れることを意味します。

この作品を書いた中野越南(えつなん:1883-1980)は、はじめ平安時代の仮名を徹底して学びますが、仮名も王羲之(おうぎし)を頂点とする漢字から生まれて発展したものとし、漢字と仮名とを区別せずに作品を制作するようになります。

積極的に展覧会に出品することは少なく、常に自己の内面に向き合い「真の書」を追求することで独自の風を形成しました。

真剣に書に向き合った越南だからこそ、このことばに説得力があり、堂々とした存在感を示します。越南が好んだ墨跡の風を感じさせ、勢いよく思うままに筆を運び、力のこもった作品です。

この作品は今月25日から8月14日まで成田山書道美術館で開催する「生誕140年中野越南とその周辺」展に出品します。(学芸員 田村彩華)

【釈文】

書心画。是揚子法言也。冀吾力以養神。越叟。