伝統を繋ぐ造園家 石井正二さん

ふれあい毎日

船橋市

リレートーク9

 一年を通して寺院や個人邸の日本庭園を中心とした、造園と庭園管理をする植晴造園(うえはるぞうえん)代表の石井正二さん(51)。祖父の代から続く造園家の次男で一級造園技能士だ。兄は別に大きな造園会社を経営している。待ち合わせたのは原木中山駅近くの妙行寺内。日焼けした精悍な石井さんが笑顔で迎えてくれた。

 「何百年も生き続けている樹木に、たった数十年だが関わらせてもらい、次の人へ繋ぐことが、造園の仕事の魅力」と話す。長い歴史を刻む古寺と庭園、そこには多くの庭師たちが関わり、手入れして見守り、愛情を注ぎ育ててきた歴史が隠れている。石井さんの話を聞いていて、簡単には語りつくせない庭園と、篤い思いを持つ庭師たちとの関係性が見えた気がした。

 害虫の被害による木の状況の観察、さらに毎日の天候にも対応しなければならない。暑い気温の中でのスタッフや自らの体調管理も重要だという。

 「既にそこにある木を生かすこと。また、新たな木を植えるにしても、お客さんの話を聞きながら進めて行く。全体を見て、最終的には家を引き立てることが重要。石の数は奇数、樹木の高さなどを考慮して、いかに調和を作り出すか。完成後、年月を経て、石井にやってもらって良かったと言われることがいちばんうれしい」と話す。

趣味は海釣りとバイク。休日は福島や茨城沖へ船を出す。愛車のハーレーダビッドソンで、全国を走ることも楽しみのひとつ。地方を走っていると、その土地の植木が目に飛び込んで来て、仕事の参考になることも多い。

「釣りで船から陸を眺めた時、崖に這う植物や流れる水など、庭作りのヒントがたくさん詰まっている」と、自然から多くを学んでいると話す。「まだまだ修行中。もっといい方法はないものかと常に考えている。多くの人に助けてもらい、今の自分がある」と、思わず口をついて出た周囲への感謝の思い。良い仕事は、勉強熱心で謙虚な人柄が成せる業だと思った。

●次回は亀山守さんにバトンを渡します。