建設業界での躍進が期待される -南信重機興業株式会社

なにつくってるの?東葛工場拝見

 その場所を通る度に「これは何に使うのだろうか?」と疑問を抱くモノがある。そこには、長さ9㍍など各種サイズがある直方体の形をした巨大なパイプでできた枠組がいくつも積み上げられている。


 場所は、柏市風早の16号線アップルかしわ沼南店の裏。
 謎の物体を探るべく、さっそく取材へ出かけた。そこは、南信重機興業というクレーンリース、重量物の運搬などを請け負っている会社だ。建築現場で鉄の柱を積み上げるクレーン車などの重機を扱っている。手掛けた工事は、今年開催された東京オリンピックの選手村、東京スカイツリーなど都内の建築物から地元、柏市の名戸ヶ谷病院移転新築工事まで幅広い。


 冒頭の謎のパイプの枠は、「ブーム」(boom)という。一つの重さは1~5㌧。これをいくつも高く組み合わせるとクレーンの本体になる。クレーンを麒麟に例えると長い首の部分がブームだ。最長では、70㍍になることも。それを、クローラークレーンと呼び、このような大型重機を有する会社は関東でも珍しく、それが企業の強みとなっている。南信重機最大級の600㌧吊りクレーンは、トレーラー、トラック約30台を使い運搬しており現在、流山市で活躍中だ。

ブームを組み合わせた巨大なクローラークレーン


 現場の作業はもとより重機や部品のメンテナンスにも時間をかける。常に安全第一がモットー。国家資格を持つクレーン・オペレーターは75人、運転手22人在籍。この道20年の和泉浩さん(45)は「建築の組み立てや解体作業もやり甲斐はありますが、自分が携わった建築物を見るたびに自分の仕事を誇りに感じます」と日焼けした笑顔で語る。


 コロナの巣ごもり需要の影響で通販の売り上げが伸び、現在の建築業界では、物流倉庫の建設が増えている。南信が手掛けている倉庫も多い。工事期間は、平均して半年から1年ほどだが、中には2~3年と長期的な工事もあり、現在、社では約30カ所での工事に携わっている。業務部の竜崎登さんは「建築関係も女性が活躍する時代です。わが社でも女性や若手の募集をしています。車や重機の好きな人、建設の世界に興味のある人を歓迎します」と話す。


 南信重機興業は、柏レイソルのスポンサーとしても柏を盛り上げる手助けをしている。今後も「柏市の南信」として地域に根差した企業へ向け、更なる飛躍が期待されている。


(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)



南信重機興業株式会社
柏市風早1丁目10‐10
☎04・7191・2100