長年の経験で木を扱う 田中製材所

なにつくってるの?東葛工場拝見

 日本は、国土の7割が森林だと言われており、古くから続く日本文化のひとつとして木造建築が多く見られる。

柏市中新宿にある田中製材所は、今年、創業85年目を迎える老舗の製材所。創業当時は、柏市にもまだ山が残されており、そこで育った木々を伐採して家を建てる人が多かった。現在は、茨城県竜ケ崎市にも製材所を開き、そこでメインの製材を手掛けている。


 扱う木材は、カナダ西海岸・バンクーバー産のカナディアン・ダグラスファー(米松)だ。樹齢300年~500年にもなる自然木のみを扱っている。この木の特徴は、カナダの針葉樹の中でも最高の強度を誇り、耐久性も非常に高いことだ。4代目社長の田中清之さんは、今まで50回以上もカナダを訪れカナディアン・ダグラスファーの品質や用途性を吟味してきた。それらの中には、日本で天然記念物となりうる樹齢の木もある。


 一本の天然木から切り出された無垢材の良さは、木が生きていること。夏は湿度を吸って冬は湿度を放出する。四季のある日本において上手く環境に溶け込む木材が重宝されるのは、そのような理由もある。また、何年も香りが損なわれず、人々に癒しを与えてくれる点も魅力だ。

カナダから届く樹齢500年の天然木。技術をもった職人による丁寧な手作業


 「近年、大工さんが減り、本来人間の目と手で行う作業が機械化されています。けれど機械ではできない部分も残されていて、生き物である木の個性を最大限引き出し生かすことが私たちの仕事です」


 この道30年以上の経験を持つ田中社長は、自社の製材技術を誇りにしている。田中製材所が扱った木々は、設計士が図面を引いた住宅、高級ゴルフ場のクラブハウス、神社仏閣と幅広く使用され取引先からの信用も厚い。


 カナディアン・ダグラスファーの魅力を広めたいと、板一枚、柱一本から一般客に向け販売もしている。
(取材・文=高井さつき)



■株式会社田中製材所
柏市中新宿1‐5‐3
☎04・7174・3025