暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回ご紹介する作品は、100年先も伝えたい珠玉のアニメーション映画『この世界の片隅に』です。
1944年2月。広島県、呉市。18歳のすずさんは、海軍勤務の文官・北條周作のもとへお嫁にやって来る。その頃の呉は軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」の母港でもあった。
見知らぬ土地での生活が始まり、配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日の暮らしを積み重ねていく。
すずさんがお嫁に来てから1年が経った1945年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。そして、昭和20年の夏がやってくる――。
激動の昭和20年を生きたすずさんを通して、毎日の生活を平然と送ることのすばらしさを感じることができ、大切な人やものを改めて大事にしようと思える、そんな作品です。
ぜひ、キネマ旬報シアターでご覧ください。(8月6日㈯~19日㈮上映予定)
(富さや香)