今回ご紹介する作品は、『スズさん 昭和の家事と家族の物語』です。
「昭和のくらし博物館」。昭和26年（1951）東京郊外に建てられた木造２階建の住宅は、いまでは博物館となって当時の人々の暮らしを現代に生きる私たちに伝えている。
館長の小泉和子さんの実家であるこの場所には、母・スズさん（1910～2001年）の思い出がたくさんつまっている。生活の細部に工夫を凝らし、知恵を絞り、家族のために懸命に手を動かしながら生きてきた一人の女性の姿が、この博物館には存在する。
当時、当たり前に継承されていた経験や生活の知恵は、時代の変化とともに失われつつある。母から娘へ、娘から今を生きる私たちへ、スズさんが遺してくれた物語。
「手を動かしていれば大丈夫」と家族のために日々の暮らしを支える家事をこなしてきたスズさん。そんなスズさんの生い立ちから昭和の家事の記録までを、3章からなる物語で私たちに教えてくれます。80歳を越えたスズさんによる、息をのむほど鮮やかで、細やかな気配りに満ちた手仕事の記録が４Kデジタルで蘇ります。
日々を細やかに営んだ女性たちの生活史を是非キネマ旬報シアターでご覧ください。
（富さや香）
