今回ご紹介する映画は、映画史に残る傑作として語り継がれるディズニーの長編アニメ『ファンタジア』です。
1940年製作のこの作品は、オーケストラによるクラシック音楽を基にした物語集。バッハの「トッカータとフーガ・ニ短調」、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、デュカスの「魔法使いの弟子」、ストラビンスキーの「春の祭典」、ベートーベンの「田園交響曲」、ポンキエッリの「時の踊り」、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」、シューベルトの「アベ・マリア」の8曲に乗せてアニメーションが展開されます。
キャラクターの動きや草木の揺れ、その映像のすべてが驚くほど音楽と合っていて、コンピューターの無い時代に人の手で作られたことが奇跡のよう。
実際に120人以上のアニメーター、103人編成のオーケストラなど、スタッフは1000人を超え、制作期間は3年と前例のないスケールで莫大な製作費をかけて作られた本作は、その資金を回収するまでに30年以上かかったとか…。
当時の最新音響技術であるステレオ再生方式が初めて使われた為、技術面においても非常に重要な歴史的作品です。80年経っても色褪せない珠玉のアニメーション、是非スクリーンでお楽しみください。
(大野健志郎)