たっちゃんの 行ってきました!

ふれあい毎日連載

大神宮下周辺  船橋市

京成本線大神宮下駅を降りた。船橋大神宮はどの方角だったか。数年前の記憶を辿りながら人の行く方に目をやると鳥居が見えてきた。信号を待っていると、ダイジングーという喫茶店。

鳥居をくぐると、左手に大きな銀杏の木。秋の晴れ渡った青空に向けて伸びる枝ぶりが壮観。時間の推移を思い、清々しい気持ちになる。何か柔らかいものを踏みつけたと思ったら銀杏の実だった。しまった!この臭いには参る。

 参道の奥で着物姿の女性たちが写真を撮っている。社殿前では家族連れがにぎやかだ。おみくじやお守りの販売所の近くに大きな神輿が蔵の中で光り輝いている。コロナ禍のため、今年も出番がないのだろうか。

 階段を降りて大通りを前に、右へ曲がろうとすると、印袢纏を羽織った男たちと小さな神輿を乗せた軽トラックが交差点をゆっくりと右へ曲がり、遠ざかって行った。祭りの準備なのか。

 船橋駅の方面へ広い通りを歩いてみる。ワインバルの前に大きな赤い文字でテイクアウトの看板。この時世で増えた便利ツールの一つだ。インドカレー、コーヒーの店、中華料理店などが軒を並べる。子どもの本専門店の看板は箒に乗った緑色の少年が宙を飛ぶ。次々とおもしろい看板が目に飛び込んでくる。もつ焼き、やきとりの店は扉が開いていて、カウンターの客が飲んでいるのが見える。まだ昼の2時だ。

 ようやく今日訪問しようと思っていた「つくりて工房」へ。店の前に椅子、額縁、布製のバッグなどが展示され、中では草木染のワークショップが開かれていた。染物の独特の匂いが鼻先をかすめる。金属の廃材で作られたアート作品には童心をくすぐられる。私は小さな革製品を3つ購入。作家さんと神輿の話や昼飲みのことなど、たわいない世間話をする。

 工房を後にすると駅はもうすぐ。途中の新海老川橋に子どもの音楽隊の像を見つけた。橋の上に6人並んで楽しそうだ。川沿いの木々の葉は黄色味を帯び、川面には雲のない秋の空が映っている。緑色の葉の中に黄色の葉が均一に斑模様となっている。先日読んだ本の中の「自然の複雑系」という言葉を、ふと思い出した。

 あの辺が駅かなと思ったところで、電柱の「山口横丁」というゴシック体に目を奪われた。昭和の面影を色濃く残すエリアだ。この先への期待が増すが、今日はここまで。次回また出直そう。